お寺は合掌一礼!正しいお参り・参拝手順と注意点を分かりやすく解説

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初詣や法事、お墓参りなど、お寺へお参りに訪れる機会は毎年多くありますが、中には正しい参拝方法がわからず戸惑ってしまったり、神社の参拝方法と混同してしまう方もいらっしゃるかと思います。

お寺と神社は混同されがちですが、お寺は仏様をお祀りする場所であり、参拝の作法には様々な違いがあります。

本記事では、お寺での基本的な参拝方法と注意点を分かりやすく解説します。

お寺は「合掌一礼」

神社 お参り 参拝

お寺の拝礼の仕方は、「合掌一礼」です。

合掌一礼とは、仏前で胸の前で手を合わせて静かに合掌し、そして最後に一礼することです。お願い事がある人は合掌しながら唱えます。

これに対し、神社は、「二礼二拍手一礼」です。

お寺の拝礼が大きく神社の拝礼と違うことは、お寺では拍手しないことです。合掌する時は、音を立てないように気をつけましょう。

合掌は、仏教発祥の地であるインドから伝わった礼拝方法です。右手は仏様を、左手は衆生(生き物すべて)を表す両手を合わせることで、仏様と人間がひとつになり成仏を願う気持ちを表しています。また、合掌はその他に、相手に対する尊敬の気持ちを表す際にも用いられます。

合掌は、宗派によっていろいろ違います。一般的な合掌は、両手の指をまっすぐに伸ばして、自分の胸の前で手のひらを合わせる「堅実心合掌」(けんじつしんがっしょう)です。

 

山門のくぐり方

寺 山門 参拝

山門の前で合掌しながら一礼し、女性は右足から、男性は左足から入ります。

山門は俗世と仏様のいる場所との境となる門です。山門を通ると仏様の場所となるため、敬意をしめし、服の乱れを整え、合掌一礼し中に入ります。

また、山門をくぐるときは敷居を踏まず跨いで通ります。敷居は悪しきものを防ぐ結界のため、敷居を踏むことは結界を踏みつけることとなり悪い行為とされます。

参道の歩き方

参道の歩き方については、神道とは違い、決まりはありません。
一般的には、境内に向かって手水舎が左側にあれば左側通行、右側にあれば右側通行とされます。

 

お寺のお参り・参拝手順

お寺の参拝手順は以下の通りです。

  1. 山門の前で合掌一礼し、山門をくぐる
  2. 手水をとり、心身を清める
  3. 本堂へ向かう
  4. 鐘をつく(できるお寺であれば)
  5. 香閣で心を清める(ある場合)
  6. 献灯・献香する(ある場合)
  7. お賽銭を賽銭箱に入れる
  8. 合掌してお祈りをしたら、一礼する
  9. お守り・御朱印をいただく
  10. (お寺を出る際)山門をくぐった後、本堂に向かって合掌一礼する

続いて、参拝手順に沿って作法と注意点を解説します。

一礼して山門をくぐる

山門をくぐる前に合掌一礼し、敷居を跨いでくぐります。

手水舎で心身を清める

お寺 参拝 手水舎

境内に入ったら、本堂に向かう前に手水舎で身を清めます。古くから水は身のけがれを洗い流す物とされてきました。手順は神社と同じです。

お寺の場合、手水舎がないところもあります。その場合はそのまま本堂へ進みましょう。

手水の取り方には、ひしゃくを使う場合と、ひしゃくがない流水の場合がありますので、それぞれにご紹介します。

手水の仕方(ひしゃくの場合)

  1. 手水舎に向かい浅く一礼する
  2. 右手でひしゃくの柄を持ち、水をすくい、その水で左手を洗う
  3. 柄を左手に持ち替え、右手を洗う
  4. 再びひしゃくを右手で持ち変え、左手に水を受けて、その水で口をすすぐ
  5. 改めて左手を洗う
  6. ひしゃくを両手で立て、残った水が柄に流れるようにして柄を洗い、ひしゃくを元の位置に伏せて戻す
  7. ハンカチで口と手を拭き、最後に浅く一礼する

手水の仕方(流水の場合)

  1. 手水舎に向かい浅く一礼する
  2. 両手を洗う
  3. 次に両手に水をためて、その水で口をすすぐ
  4. 再度、両手を洗う
  5. ハンカチで口と手を拭き、最後に浅く一礼する

● ワンポイントアドバイス

  • 手を洗う際には、洗った水が、水盤の中に戻らないように注意しましょう
  • ひしゃくの水は1度に使わず、1つの動作ごとに1/3を目安に使いましょう
  • ひしゃくを使う場合は、ひしゃくに直接口をつけないようにしましょう
  • すすいだ水を口から出す時は、左手で口元を隠すと丁寧です

鐘をつく

お寺 参拝 鐘

お寺の境内の中には「鐘楼」という呼ばれる建物があり、鐘があります。

鐘は、参拝前に仏様へ挨拶をする意味を込めてつくものです。参拝後に鐘をつくことは「戻り鐘」と言われ、功徳が消え縁起が悪いとされています。

一般の参拝者が鐘をつくことを禁止しているお寺もあるので、ルールに従いましょう。

参道を通り本堂へ進む

参道を通って、本堂へ進みます。 日常の喧騒から離れ、静かに自分と向き合う機会として静かに進みましょう。

大きなお寺には複数のお堂がありますが、まずは本堂のご本尊に参拝しましょう。

香閣で心を清める

香閣 お寺 参拝

お寺によっては、香閣(または常香炉)があります。

香閣にはお線香が供えてありますので、その煙を手であおいで身体に当てます。邪気をはらって身を清めてくれるという意味があります。

香閣には龍があしらわれていることから、煙とともに災いをはらう龍が境内を巡って清めてくれているとされています。

また、この煙には身体の悪いところを治す力があるとも言われているため、自分の悪いところに煙を付けて無病息災を願う人が多くいます。

献灯・献香する

献灯 お寺 参拝

本堂の前にロンソクや線香が用意されている場合には、献灯と献香を行います。

このとき、ロウソクや線香の火を、先の参拝者が点けた物から受けてしまうことを「もらい火」といい、「業を受ける」とされ縁起が良くないので注意して下さい。

焼香の仕方

献香とは、お香を焚き、仏様に捧げることです。

線香は火をつけて、真ん中から香炉に供えます。焼香を行うときは、親指と人差し指、そして中指でお香をつまみます。そして額の前で一度お香を押しいただき、その後で香炉の中に落とします。

焼香の回数は、宗派や寺院によって一回または三回と異なります。回数にこだわらず心を込めて行うことが大切です。

献灯の仕方

献灯は、ロウソクなどの灯りを仏様に捧げる行為です。

ロウソクに火を灯して、奥(ご本尊に近い方)から燭台に供えます。

仏教では、「光明とは智慧のかたちなり」という教えがあります。これは、光が心の闇を照らし、仏の知恵と慈悲を讃えるという意味です。また、仏教の教えでは、灯火は極楽浄土への道標として、死者を導く役割でもあります。

線香やろうそくの火を消すときは、手で仰いで消してください。息で吹き消してはいけないとされています。息は生臭のものであり、不浄のものと考えられています。

賽銭箱にお賽銭を入れ、鰐口を鳴らす

鰐口 お寺 参拝

次に賽銭箱にお賽銭を納めます。お寺のお賽銭は「お布施」であり、欲や執着を捨てるための修行の一つです。お賽銭は勢いよく投げず、静かに入れるように心がけましょう。

鰐口がある場合は、鰐口を鳴らします。鰐口を鳴らすことで、参拝に来たことを仏様に伝える意味があります。

礼拝

お寺 参拝

姿勢を正し、合掌します。お寺では拍手は打ちません。そして、合掌したまま一礼し、お願い事がある人は合掌しながら、 ご本尊にお祈りします。

最後の一礼して本堂を離れます。

お守り・御札・御朱印をいただく

御朱印は、お寺の「参拝証明」として押印される印章・印影のことですので、拝礼後にいただくことが正式な参拝の順序となります。

御朱印は、もともとお経を読経し写経したものを奉納した証として授かるものでしたため、お納経と言われていました。今では、納経をしなくても参拝の証を受けることができるようになりました。

御朱印には押印のほかに、参拝日、仏閣の名称、御本尊の名前などが墨で書かれます。

お守りや御札もまた参拝後に受けます。

お守りや御札は、本来賽銭のお礼としてお寺から贈られるものです。お守りの中には、読経や焼香などの儀式が施された内符と呼ばれる御札が入っています。

御札は仏壇に置き、御守りはご利益を身につけるものですので、拝礼後に授かることが正式な順序です。

お寺から出る際も一礼する

お寺から出る際は、入る時同様に、山門の前で合掌一礼しご本尊に礼を尽くします。

入る時は山門をくぐる前に合掌一礼しましたが、出るときは山門をくぐった後に、本堂に向かって合掌一礼します。

 

お寺のお参りに関するQ&A

参拝に適した服装、NGな服装は?

お寺での参拝に服装には厳格な決まりはありません。しかし、仏様への礼を示すために、きちんと正した服装で参拝するように心がけましょう。

NGな服装の例を挙げます。

  • 肌の露出の多い服:タンクトップやキャミソールなど
  • 軽装:短パン、サンダルなど
  • 派手な色や柄の服
  • 殺生を連想させる服:殺生をイメージさせるレザーや毛皮のついている服装、また小物(仏教では殺生を禁じています。)

帽子をかぶっている場合は、山門を通る前に脱ぎましょう。

修学式や成人式などの人生の節目で、また結婚や出産、就職などの大事な報告に訪れる時は、少し畏まった服装、男性はスーツにネクタイ着用、女性もスーツやフォーマルなワンピース、着物などの正装が好まれます。

お賽銭の額に決まりはある?

お寺でのお賽銭には「己の欲を捨てる」という意味合いがあります。仏教は自分の煩悩を捨て、悟りを開くことを目指す宗教です。

お寺のお賽銭は「お布施」であり、欲や執着を捨て悟りに至るための修行の1つです。「自分が持っているものを他人に無条件で施す」という意味があります。

参考までに、縁起の良い金額、縁起が悪いとされる金額をご紹介します。

縁起が良いと言われている金額

5円玉、50円玉 見通しがきく、運が通る、ご縁がある
21円、31円など割り切れない数字 家族円満、夫婦円満、恋愛継続
88円、888円 末広がり
111円 なんでも1番
123円、1234円 上がり数字
777円 ラッキーセブン
2,525円 にこにこ
2,951円 福来い
4,129円 良い福
8,981円 厄払い
9,674円 苦労無し
1万円 万事円満 ※新札のほうが良いとされます

縁起が悪いと言われる金額

10円 遠縁になる
65円 ろくなご縁がない
75円 なんのご縁もない
85円 やはりご縁がない
95円 苦しいご縁にあう
500円 最大の硬貨のため、これ以上大きな効果は無い

これらはあくまでも「語呂合わせ」で具体的な根拠はありません。

最も大切なのは、お布施をする気持ちです。
金額の大小に関係なく、気持ちの額だけ納めるようにしましょう。

人から借りたお金を納めることは良くないとも言われているので、できるだけ自分の財布からお賽銭を出すようにしましょう。

お守り・御朱印を買うタイミングは?

お守りは、本来賽銭のお礼として寺院から贈られるものとされています。参拝の後にご利益を身につけるものとしてて授かりましょう。

御朱印も、お守りを扱っている授与所や寺務所でいただくことができます。参拝の証として、参拝後にいただくことが正しい参拝手順になります。

直書きしていただけるところでは、御朱印をいただきたいページを開いて両手でお渡ししましょう。待っている間は心穏やかに静かに待ち、お礼を言って両手で受け取りましょう。

引いたおみくじはどうする?

おみくじ

お寺のおみくじは、仏意(仏の御心)をうかがう占いです。

引いたおみくじが大凶や凶などだったときには、境内の木の枝に結んで帰る方も多いかと思いますが、厳密に決まりはありません。

おみくじを木の枝に結ぶという慣わしは江戸時代からあるもので、木の生命力と自分の願いごとを結びつけ、これから伸びていく枝に結ぶことで願い事が叶いますようにという思いを込めて始まったものだそうです。

むやみにおみくじを境内の木々に結びつけてしまうと木々を傷め、景観を乱してしまいます。おみくじ結び所がある場合には、その指定の場所に結ぶようにしましょう。

おみくじは、単なる運勢を占うものではありません。書いてある内容から、仏意を感じ取り、その後の生活の指針として役立てていくことが大切ですので、持ち帰って時々読み返すことが良いとされています。

持ち帰った場合は、お告げが実現した時や、1年後を目処に、できれば授かったお寺の古札受付へお返ししましょう。

ペットを連れてお参りはできる?

多くのお寺ではペットを連れて行くことが禁止されています。

神道では四本足の動物は「穢れ」と考えられ、神域への立ち入りは好ましくないとされています。日本では神仏混合により、神社と同じようにペットの立ち入りを禁止しているお寺が多くあります。

最近は「ペットも大切な家族」また「すべての命は尊い」という考え方が定着し、ペット連れが可能なお寺も増えていますので、行く前に確認してください。

連れて行くことが可能なお寺であっても、排泄などの衛生面、またノーリードで歩かせるなどのマナーには気をつけて参拝しましょう。

 

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