お正月飾りにはどんな意味がある?種類ごとの役割と縁起物の意味を解説

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毎年の年末、玄関に門松やしめ飾りを出し、床の間や台所に鏡餅を供える。

当たり前のように続けてきた習慣ですが、何のために飾るのか、理解している方は多くないかもしれません。

お正月飾りは、新年に各家を訪れる「年神様(としがみさま)」をお迎えするための、神聖な設えです。

単なる飾りではなく、ひとつひとつの飾りに役割と由来があります。

本記事では、門松・しめ飾り・鏡餅をはじめとする正月飾りについて、それぞれが何を意味し、どのような由来を持つのかを種類別に解説します。

執筆・監修
神社のお焚き上げ編集部
郵送お焚き上げサービス「神社のお焚き上げ」(提携神社:祐徳稲荷神社)の運営を通じて得た知見と現地確認・独自調査を元に、企画・執筆・編集を行っています。

祐徳稲荷神社この記事の結論
✓正月飾りはすべて「年神様をお迎えする」ための設え
✓門松・しめ飾り・鏡餅でそれぞれ役割が異なる
✓橙・裏白・ゆずり葉など、小さい縁起物にもすべて意味がある

正月飾りとは?年神様をお迎えするための準備

正月飾りとは、新年に訪れる年神様をお迎えするために、家の内外に設える飾りの総称です。

門松・しめ飾り・鏡餅がその代表で、いずれも「神様をお迎えする」という一点で共通しています。

正月飾りは、クリスマスツリーのような季節の装飾とは性格が異なります。

神様をお招きするための準備であり、お正月という祭祀の一部である、というのが本来の位置づけです。

 

正月飾りの由来|年神様(歳神様)はどんな神様?

年神様は、新しい年の初めに山や高い場所から降りてきて、各家庭を訪れるとされる神様です。
「歳神様」「お正月様」とも呼ばれます。

日本において年神様は、二つの性格を併せ持つと考えられてきました。

性格 内容
祖先神 その家を見守ってきたご先祖様の霊が、年の初めに神となって帰ってくるという考え方
穀物神 稲の実りをもたらす神。「年(とし)」はもともと稲の実りを指す言葉だったとされる

「年」という字が稲の実りを意味していたという説は、正月行事を理解するうえで重要です。

一年の農作物の出来を左右する神様を家にお招きし、家族の健康と実りを授けていただく。
これが、お正月という行事のもともとの姿だと考えられています。

年神様は、正月の松の内のあいだ家に留まり、期間が終わると再び天へお還りになるとされます。
飾りを出す時期・片付ける時期に決まりがあるのは、この「お迎えしてお送りする」という流れがあるためです。

 

正月飾りが持つ3つの役割

正月飾り 意味 役割

種類の多い正月飾りですが、役割で整理すると、次の3つに分けて理解できます。

役割 代表する飾り 意味
目印 門松 年神様が迷わずその家を見つけられるようにする道しるべ
結界 しめ飾り・しめ縄 ここが清められた神聖な場所であると示し、災厄を寄せつけない
依代 鏡餅 お迎えした年神様が宿る場所であり、同時にお供えでもある

門松で家の場所を知らせ、しめ飾りで清浄な場を整え、鏡餅にお迎えする。
この3つが揃って、はじめて年神様をお迎えする設えが完成します。

どれかひとつだけを飾ってもよいものですが、本来は一連の流れを持った設えであることを知っておくと、飾る意味が実感しやすくなります。

 

【種類別】正月飾りの意味と由来

正月飾りの種類は多岐にわたります。主な飾りと意味・役割、飾る場所は以下の通りです。

種類 意味 役割 飾る場所
門松 年神様が降り立つ目印 目印 門・玄関の左右
しめ飾り 清められた場所であることを示す 結界 玄関先
しめ縄 神域と俗界を隔てる 結界 神棚
鏡餅 年神様が宿る場所であり、お供え 依代 床の間・神棚
破魔矢 魔を破り、邪気を祓う 魔除け 神棚・床の間
干支の置物 その年を司る守り神 守護 玄関・床の間
餅花・繭玉 その年の豊作をあらかじめ祝う 予祝 居間・床の間
正月花 生命力と繁栄を寿ぐ 祝意 床の間・玄関

それぞれの意味と役割を詳しく見ていきましょう。

 

門松|年神様が迷わず来るための目印

正月飾り 門松

門松は、年神様が家を訪れる際の目印であり、降り立つ依代でもある飾りです。
玄関や門の左右に一対で立て、「この家がお迎えの準備を整えています」と知らせる役割を担います。

古来、日本では神様は高い木に宿ると考えられてきました。

冬でも葉を落とさない常緑樹はとりわけ神聖視され、なかでも「松」は「神を待つ」「神を祀る」に通じるとして選ばれたといわれます。

門松に用いられる松竹梅には、それぞれ異なる願いが込められています。

植物 縁起物とされる理由
松 冬も緑を保つ常緑樹であることから、不老長寿・永遠の象徴。「神を待つ」に通じる語感も重ねられている
竹 まっすぐ勢いよく伸びることから、成長と繁栄の象徴。折れにくく強い生命力も重んじられた
梅 寒さのなかで真っ先に花を咲かせることから、気高さと開運・出世の象徴

門松の主役はもともと松のみで、竹や梅が添えられるようになったのは後の時代とされます。
現在よく見る斜めに切られた竹(そぎ)は、江戸時代以降に広まった形といわれています。

雄松・雌松に分ける意味は?

正式な門松では、向かって左に「雄松(おまつ)」、右に「雌松(めまつ)」を配します。
雄松は黒松で葉が硬く色が濃く、雌松は赤松で葉が柔らかく色が淡いのが特徴です。

一対で立てるのは、陰と陽の調和を表し、整った状態で神様をお迎えするという考え方によるものです。左右で異なる松を用いるのは、この陰陽思想に基づいています。

 

しめ飾り(玉飾り)|ここが神聖な場所だと示す結界

正月飾り 玉飾り

しめ飾りは、玄関先に掛けることで「この家は年神様をお迎えするにふさわしい、清められた場所である」と示す結界です。
同時に、不浄なものや災厄が内へ入るのを防ぐ役割も担います。

門松が「どうぞこちらへ」という目印であるのに対し、しめ飾りは「ここから内は神域です」という境界の宣言にあたります。
役割が違うため、本来はどちらも飾るのが正式な設えです。

しめ飾りは縄だけでできているわけではなく、複数の縁起物が組み合わされています。それぞれに込められた願いは次のとおりです。

縁起物 込められた意味
橙(だいだい) 実が落ちずに何年も木に残ることから「代々(だいだい)家が栄えるように」との願い
裏白(うらじろ) 葉の裏が白いことから「後ろ暗いところのない清らかな心」を表す。左右対になって生えることから夫婦円満、長寿の象徴でもある
ゆずり葉 新しい葉が育ってから古い葉が落ちる性質から、家督が無事に受け継がれる=子孫繁栄を願う
紙垂(しで) 白い紙を折って垂らしたもので、そこが神聖な区域であることを示す印。雷光をかたどり、邪気を祓うともいわれる
昆布 「よろこぶ」に通じる語呂合わせ。「広布(ひろめ)」と読み、末広がりの縁起物ともされる
海老 腰が曲がるまで長生きできるようにという長寿の願い
扇 末広がりの形から、家運や商売の繁栄を願う

紙垂の意味については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

しめ縄|神域と俗界を隔てる境界

しめ縄 大根型

しめ縄は、神社の鳥居や御神木に張られているのと同じく、その内側が神様の領域であることを示すものです。家庭では主に神棚に取り付けます。

しめ飾りが正月限定の設えであるのに対し、神棚のしめ縄は一年を通して張られ、年末に新しいものへ取り替えるのが一般的です。

しめ飾りには複数の形があり、それぞれ飾る場所と格が異なります。

形 特徴と意味
玉飾り 太い輪に縁起物を数多く飾った、最も豪華な形。家の顔である玄関に用いる
輪飾り 細い縄を輪にした簡素な形。台所や水まわりなど、家の各所を清める意味で飾る
ごぼう注連 ごぼうのように片側が細くなった形。神棚や、西日本の玄関で多く用いられる

台所や水まわりに小さな輪飾りを下げるのは、火や水を司る神様にも一年の無事を願うという考え方によるものです。
家じゅうを清めて年神様をお迎えする、という発想がここにも表れています。

しめ縄の意味と種類については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

鏡餅|年神様が宿る依代

鏡餅

鏡餅は、お迎えした年神様が滞在するあいだに宿られる場所(依代)であり、同時に神様へのお供えでもあります。

門松で招き、しめ飾りで清め、鏡餅にお宿りいただく——

この最後の役目を担うのが鏡餅です。

鏡餅の名は、その形が古代の銅鏡に似ていることに由来します。

銅鏡は神事に用いられる神聖な道具であり、神霊が宿るものと考えられてきました。
三種の神器のひとつが鏡であることからも、その位置づけがうかがえます。

神霊が宿る鏡を、米という神聖な作物でかたどったもの。それが鏡餅です。

鏡餅に添えられるものにも、しめ飾りと同じく一つひとつ意味があります。

添えるもの 意味
橙 「代々」に通じ、家が末永く続くことを願う
裏白 清廉潔白な心と、夫婦円満・長寿を表す
四方紅(しほうべに) 四辺を紅で縁取った紙。天地四方を拝し、災いを退けて一年の繁栄を願う
三方(さんぽう) 神様へのお供えを載せるための台。三方向に穴が開いた形が名の由来
御幣(ごへい) 紅白の紙を垂らしたもの。紅は魔除け、白は清浄を表す

鏡開きで食べる意味は?

鏡餅には年神様が宿っておられたため、それをいただくことは、神様の力(年魂・としだま)を分けていただくことを意味します。
家族で分け合って食べるのは、一年の無病息災をともに願うためです。

このとき刃物で切らないのは、「切る」が縁が切れることや切腹を連想させ、縁起が悪いとされたためです。
手や木槌で割り、「割る」も避けて「開く」という縁起のよい言葉を使います。

二段に重ねる意味は?

鏡餅を二段に重ねるのには、いくつかの意味が重ねられています。

  • 円満に年を重ねる(餅を「重ねる」に願いをかける)
  • 月(陰)と太陽(陽)を表し、その調和を願う
  • 福が重なる、めでたさが重なる

丸い形そのものにも「家庭円満」の願いが込められており、角のない形は和やかさの象徴とされます。

 

破魔矢|魔を破り、邪気を祓う

破魔矢

破魔矢は、その名のとおり「魔を破る矢」として、災いや邪気を祓う縁起物です。

初詣で授かるものというイメージが強いですが、正月飾りの一種として神棚や床の間に飾られてきました。

もとは年始に行われた弓の技を競う神事「射礼(じゃらい)」に用いられた矢が起源とされ、的を射抜いてその年の吉凶を占ったり、矢そのものに魔除けの力を認めたりしたことから、縁起物として定着したといわれます。

 

干支の置物|その年を司る守り神

干支 置物

干支の置物は、その一年を司る干支を家に迎え、守っていただくという意味を持つ飾りです。

十二支にはそれぞれ性質や象徴があり、たとえば辰は昇運、巳は再生と金運、寅は決断力などと結びつけて語られます。

正月飾りのなかでは比較的新しく、江戸時代以降に縁起物として広まったとされます。

松の内を過ぎても一年を通して飾ってよいものとされる点も、他の正月飾りと異なります。

 

餅花・繭玉|その年の豊作をあらかじめ祝う

餅花 正月飾り

餅花(もちばな)は、柳やミズキの枝に紅白の餅や団子を小さく丸めて付けた飾りです。
東日本では繭玉(まゆだま)とも呼ばれます。

枝いっぱいに実った餅を稲穂や繭に見立て、その年の豊作をあらかじめ祝う「予祝(よしゅく)」の飾りです。

先に祝ってしまうことで実際にそのとおりになる、という古来の考え方に基づいています。

養蚕が盛んだった地域では繭の形に見立てて繭玉と呼び、蚕の当たり年を願いました。
土地の産業と結びついて姿を変えてきた飾りといえます。

 

正月花|生命力と繁栄を寿ぐ

正月花 正月飾り

床の間や玄関に生ける正月花にも、選ばれる植物それぞれに意味があります。

植物 意味
松 常緑であることから、不老長寿と神様を迎える依代
千両・万両 名が示すとおり、金運や商売繁盛を願う。赤い実は魔除けの色でもある
南天(なんてん) 「難を転じる」に通じる語呂合わせから、厄除けの木とされる
葉牡丹(はぼたん) 幾重にも重なる葉が「福が重なる」を表す。牡丹の代わりの吉花としても用いられた
梅 寒中に先駆けて咲くことから、開運と生命力の象徴

 

意味を理解して、より丁寧な「お正月準備」を

門松もしめ飾りも鏡餅も、もとをたどればすべて年神様をお迎えするための設えです。

意味がわかると、毎年の年末の支度も少し違って見えてくるはずです。
今年は飾りを手に取るときに、その一つひとつの由来を思い出してみてください。