親が亡くなった時や、高齢になり一人で住むのが難しくなった時に浮上するのが「実家を今後どうするか」という問題です。
多くの自治体では、老朽化した空き家が増え深刻な社会問題となっていますが、長年家族が暮らしてきた実家を手放すことは容易ではなく、「実家じまい」には経済的・精神的負担が伴います。
本記事では、実家じまいを検討している方に向けて、実家じまいの進め方と費用、具体的な選択肢とメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
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実家じまいとは?
「実家じまい」とは、親の所有する家(と土地)を整理・処分することを指します。
実家じまいを行うタイミングは様々ですが、
- 実家の維持管理が困難になった
- 実家が不要になった
といった理由で検討する方が多いようです。
一言で「実家じまい」といっても、家や土地を手放すことは容易ではなく、売却・賃貸・譲渡・寄付・解体など、様々な選択肢があります。
実家じまいには遺産相続や資産運用の知識が必要になるため、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、法律や手続きを遵守しつつ進めることが大切です。
「家じまい」との違い
「家じまい」とは、自分の家を整理して処分することを指します。
対して「実家じまい」は、親の家を整理することを意味します。
両者の違いは、整理する家が誰のものであるかという点です。
実家じまいを始めるタイミング
実家が不要になった時
1つ目は、実家が不要になったタイミングです。
不要になった理由として、
- 親が施設に入居した
- 親が亡くなった
といったケースが挙げられます。
空き家のまま放置しておくのは防犯上良くないため、両親がご存命のうちに、実家を今後どうするか話し合っておくことが大切です。
相続が発生した時
2つ目は、親が亡くなり遺産相続が発生した時です。
相続が発生したタイミングで、相続税や固定資産税の負担を考慮し、実家じまいを進める方も多くいらっしゃいます。
その場合、相続登記を行い名義変更を済ませた後、売却や譲渡の手続きを行います。
親が亡くなった直後に実家じまいを進めるのは経済的・精神的な負担が大きいため、相続後、落ち着いたタイミングで実家じまいを進めるのも良いでしょう。
維持管理が困難になってきた時
3つ目は実家の維持管理が困難になってきた時です。
高齢の親が一人で住み続けるのが難しくなってきたタイミングで、実家じまいを始める方も多いようです。
実家の修繕費がかさむ場合にも、維持管理にかかるコストや労力を考慮し、実家じまいを検討すると良いでしょう。
実家じまいを行うメリット
実家じまいには経済的・精神的負担が伴いますが、メリットも多くあります。
● 経済的負担の軽減
実家を管理し続けるには、固定資産税、維持費、修繕費などのコストがかかります。実家じまいをすることで、これらの経済的負担を軽減できます。
● 維持管理の負担の軽減
空き家や維持管理が難しい場合、実家じまいをすることでその手間を省けます。特に遠方に実家がある場合は空き巣や火事のリスク、精神的負担を軽減することができます。
● 遺産の整理
実家じまいを行うことで、家族間の財産整理をスムーズに進めることができます。親が元気なうちに整理しておくことで、相続時のトラブルを防ぐことができます。
● 精神的負担の軽減
実家の維持管理が不要になることで心の負担が軽くなり、前向きに未来を見据えることができます。
● 家の有効活用
家を売却したり、賃貸に出したりすることで、必要な人に有効活用してもらうことができます。空き家問題が深刻な地域では、地元の活性化にも貢献できます。
実家じまいにはどんな選択肢がある?
実家じまいには、主に以下のような選択肢があります。
- 売却する
- 賃貸に出す
- リノベーション・再利用する
- 解体・更地にする
- 相続放棄する
- 寄付する
ここからは、それぞれの進め方とメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
売却する
実家を売却する場合、不動産会社に査定を依頼し、適正な価格を把握しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することで、より良い条件で売却することができます。
査定結果を元に、売却のタイミングや方法を検討しましょう。
早急に売却したい場合、買取業者に一括で買い取ってもらう方法もあります。
メリット |
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デメリット |
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実家を売却・譲渡する際の注意点
● 売買契約書の有無が譲渡所得税に影響する
実家を売却する際、売買契約書の有無が譲渡所得税に直接影響します。
売買契約書が存在する場合、その契約書に基づいて計算された売却価格が明確になり、税務署による譲渡所得税の課税額が確定します。
逆に契約書がない場合、税務署は売却価格を推定し、その金額に基づいた譲渡所得税を計算します。
そのため、譲渡所得税が高くなる可能性があります。
売買契約書は、後々のトラブルを防ぐためにも重要です。
実家を売却する際は、必ず売買契約書を作成し適切な手続きを行いましょう。
● 相続前と後でメリット・デメリットが異なる
実家を相続前に売却する場合、相続税の節約が期待できます。
対して、相続後に売却する場合は、譲渡所得税の軽減が見込めます。
どちらが適しているかは、専門家に相談し判断しましょう。
賃貸に出す
実家を賃貸に出す場合、不動産会社に賃料査定を依頼し、適正な価格を把握しましょう。
賃料は高ければ家賃収入も多く得られますが、相場よりも高ければ入居者が決まりにくく、入居者がいない間は家賃収入を得られず、管理コストだけがかかってしまいます。
賃貸管理会社によって管理手数料やサービス内容が異なるため、複数の不動産管理会社に査定を依頼し、納得できる会社に管理を委託しましょう。
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デメリット |
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リノベーション・再利用する
実家の劣化が少なく、なるべく維持管理コストをかけずに活用したい場合は、リノベーションがおすすめです。
自宅やセカンドハウスとして活用するも良し、レンタルスペースや民泊として貸し出せば収益にもなります。
レンタルスペースは飲食サービスを除き、申請手続きなしで開業できますが、民泊は開業申請や消防設備の設置が必要になります。
維持管理がかかるほか、宿泊者・近隣住民とのトラブルのリスクもあるため、慎重に検討しましょう。
メリット |
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デメリット |
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解体・更地にする
実家を解体し更地にする場合は、複数の解体業者に見積もりを依頼します。
業者を選ぶ際は、サービス内容や追加費用が発生しないかを確認するようにしましょう。
解体工事を行う前に、自治体へ届け出る必要があります。
建設リサイクル法に基づく届出や、アスベスト調査の結果に基づく対応が求められる場合もあります。
工事が完了したら、自治体に完了報告を行います。
これにより、土地の固定資産税が変更されることがあります。
家の状態によっては、老朽危険家屋解体撤去補助金制度により自治体から補助金を受けられる可能性があります。
メリット |
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デメリット |
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相続放棄する
相続を放棄する場合は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の申述を行います。
申述書が受理された後、家庭裁判所で審理が行われます。
特に問題がなければ、相続放棄が認められ、後日「相続放棄受理通知書」が届きます。
相続放棄が認められると相続人としての地位がなくなため、他の相続人の相続分が増える可能性があります。
メリット |
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デメリット |
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寄付する
土地を寄付するという選択肢もありますが、地方自治体が土地を引き取ってくれるケースはほとんどなく、寄付先を自身で探す必要があります。
寄付先として考えられるのは、地方自治体、NPO法人、公益法人、宗教団体、社会福祉法人などです。
公益法人や地方自治体への寄付の場合は、税制優遇が適用されることもあります。
メリット |
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デメリット |
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実家じまいにかかる費用
実家じまいにかかる費用は、家の規模や状態、処分方法によって異なります。
● 売却の場合
項目 | 費用 | 支払いタイミング |
不用品回収費用 | 約30万円 | 不用品回収終了時 |
不動産仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+消費税 | 売買契約時や決済後 |
印紙税 | 1,000~60,000円 | 売買契約書作成時 |
抵当権抹消費用 | 1,000円~(司法書士手数料1.5万円前後) | 移転登録時 |
譲渡所得税 | 売却益×15.315%(長期)、30.63%(短期) | 確定申告後 |
家の解体費用 | 120~240万円前後 | 解体工事終了時 |
● 更地にする場合
項目 | 費用 | 支払いタイミング |
不用品回収費用 | 約30万円 | 不用品回収終了時 |
家の解体費用 | 120~240万円前後 | 解体工事終了時 |
土地の整備費用 | 10~50万円前後 | 整備工事終了時 |
● 賃貸の場合
項目 | 費用 | 支払いタイミング |
不用品回収費用 | 約30万円 | 不用品回収終了時 |
賃貸仲介手数料 | 賃料の1ヶ月分+消費税 | 賃貸契約時 |
リフォーム費用 | 50~100万円前後 | リフォーム完了時 |
● その他
項目 | 費用 | 支払いタイミング |
不用品回収費用 | 約30万円 | 不用品回収終了時 |
相続登記費用 | 5~20万円前後 | 登記手続き時 |
税金 | 相続税、固定資産税など | 確定申告後、年度ごと |
転居や住み替えの費用 | 10~50万円前後 | 転居時 |
各費用の詳細やタイミングを把握して、計画的に進めることが重要です。
実家じまいの進め方
親・家族と話し合う
実家じまいは相続に関係するため、ご自身の意向だけで進められないケースがほとんどです。
両親がご存命の場合は特に、親の意向を確認した上で、慎重に始める必要があります。
相続前(親がご存命の場合)
- 実家を誰が相続するのか
- 相続後どうするか
- 親の転居先
をご両親と話し合いましょう。
相続放棄も可能ですが、放棄した場合も管理義務は継続されるため、維持管理コストがかかることには変わりありません。
家族間のトラブルにも繋がるリスクがあるため、必要に応じて遺産相続や不動産管理に詳しい専門家に相談しましょう。
相続後(親が亡くなっている場合)
相続した実家を今後どうするか、家族と話し合いましょう。
相続・維持管理には多くのコストがかかるため、必要に応じて相続・不動産管理の専門家に相談しながら、できるだけ少ない費用で維持・処分する方法を検討しましょう。
両親がご存命の方はできるだけ早く話し合い、自分の子に相続する前に、できるだけ不動産を整理しておきましょう。
(親が亡くなった場合)家・土地の相続登記を行う
実家じまいをする前に親が亡くなった場合、相続登記を行い名義変更をする必要があります。
相続登記は専門の司法書士に依頼することで、トラブルなく行うことができます。
相続登記が完了してから、実家の売却・譲渡の手続きが可能となります。
(実家を手放す目処が立ったら)必要な物を分別・移動する
実家を手放す目処が立ったら、家の中の物を分別し、必要な物を移動させましょう。
- 親の生活に必要なもの
- 仏壇・神棚など先祖代々受け継いできたもの
- 遺品・形見
を優先的に整理し、不要なものは極力処分しましょう。
不要な物を売却・譲渡・処分する
不要な物はリサイクルショップやフリマアプリ、オークションサイト等を活用して売却するか、必要な人に譲渡し、貰い手が見つからないものは処分しましょう。
自分たちだけで片付けられない場合は、遺品整理・不用品処分業者の利用を検討しましょう。
実家じまいの費用を抑えるには?
できるだけ自分で片付ける
家族が長年暮らしてきた実家を片付けることは容易ではありませんが、できるだけ自分たちで片付けることで費用を抑えることができます。
片付ける時間・人員を確保できない場合は、業者への依頼を検討しましょう。
売却できるものを売る
実家を片付ける際は、できる限り不要なものを売却しお金に換えることで、実家じまいの費用を節約することができます。
不用品回収・遺品整理業者に依頼する場合は、不用品買取を行なっている業者に依頼すれば、処分と買取査定を同時に進めることができます。
複数の業者に見積り比較検討する
実家じまいで業者や専門家の手を借りる場合は、複数の業者に見積りを依頼しましょう。
サービス内容や追加料金の有無を確認し、比較検討することで、少しでも費用を抑えられる可能性があります。
補助金を活用する
国や自治体が提供する補助金を活用することで、実家じまいの費用を抑えることができます。
補助金制度については、自治体の窓口やインターネットで確認することができるので、申請方法を調べてください。
条件を満たせば、費用の一部をカバーできる場合があります。
実家じまいをスムーズに進めるコツ
専門家に相談する
実家じまいには遺産相続や不動産管理の知識が必要になるため、必要に応じて弁護士や税理士、不動産業者などの専門家に相談しましょう。
家族間の話し合いがまとまらない場合も、専門家のアドバイスを受けることでスムーズに進められる可能性があります。
親が健在な頃から始める
実家じまいをスムーズに行うためには、親が健在なうちから準備を始めることが大切です。
急な病気や脳卒中で意思疎通が取れなくなってからでは、親の意志確認ができないだけでなく、実家じまいを行う精神的余裕もなくなってしまいます。
今すぐ実家じまいができない状況であっても、将来空き家になる可能性がある場合は、家の中をできるだけ片付けておくようにしましょう。
実家じまいの主な相談先
税理士
実家じまいで発生する税金の問題や、相続税の手続きは、税理士に相談するのが一般的です。
実家じまいを考え始めた時や、相続税の申告期限が近づいている時に相談するのが良いでしょう。
具体的には以下のような相談が可能です。
- 相続税の申告方法と節税対策
- 実家を売却する際の譲渡所得税の計算
- 相続税の控除や特例の適用方法
複雑な税務手続きを代行してもらえる他、節税対策について具体的なアドバイスを受けられるので、税金面での不安が軽減されます。
税理士を選ぶ際は、相続税や不動産に詳しい専門家を選びましょう。
相談料が発生するため、費用対効果を考えながら依頼することが大切です。
相談料は1時間あたり5,000円~1万円程度が一般的です。
相続税申告の代行費用は、遺産総額の0.5%~1%程度が目安となります。
弁護士
法的な問題や親族間のトラブルが発生した場合、遺言書の有効性を確認したい場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
具体的には以下のような相談が可能です。
- 相続争いの解決方法
- 遺言書の作成と確認
- 法的な手続きや調停の進め方
弁護士に相談することで、法的なトラブルを未然に防ぐことができる他、公平な視点からの解決策を提案してもらえるので、安心して相続手続きを進められます。
弁護士を選ぶ際は、相続問題に詳しい専門家を選ぶことが重要です。
相談料が高額になることがあるため、費用はその都度確認するようにしましょう。
相談料は1時間あたり1〜3万円程度が一般的です。
遺産分割協議の代行費用は、案件の難易度や遺産総額によって異なりますが、総額で数十万円〜数百万円になることがあります。
司法書士
実家の相続登記や名義変更を行う際は、司法書士への相談を検討しましょう。
親が亡くなった後、早めに相談することをおすすめします。
具体的には以下のような相談が可能です。
- 相続登記の手続き
- 不動産の名義変更
- 必要書類の準備と提出方法
司法書士は、不動産に関する手続きのプロであり、必要な書類の準備や手続きを代行してくれます。
相談料は1時間あたり5,000円〜1万円程度が一般的です。
相続登記の代行費用は、登記する不動産の価値や件数によって異なりますが、総額で数万円〜数十万円になることがあります。
司法書士選びは相続登記に詳しい専門家を選ぶことが重要です。
事前に相談料や手続きの流れを確認しておくと安心です。
葬儀社
親が亡くなった後の葬儀の手配や遺品整理は、葬儀社に相談すると良いでしょう。
葬儀社は、葬儀の準備から遺品整理、遺骨の管理に至るまで、幅広いサポートを提供してくれます。
具体的には以下のような相談が可能です。
- 葬儀の手配
- 遺品整理の方法と手順
- 遺骨の管理方法
葬儀社に相談することで、葬儀や遺品整理に関わるサポートを受けられ、心の負担も軽減することができます。
葬儀の相談料は無料の場合がほとんどですが、遺品整理の費用は作業内容や量によって異なります。
一般的には数万円〜数十万円程度が目安となります。
事前に費用やサービス内容を確認し、納得のいく葬儀社を選ぶようにしましょう。
相続コンサルタントやアドバイザー
実家じまいを総合的にサポートしてほしい場合や、具体的な手続き方法について知りたい場合は、相続コンサルタントやアドバイザーへの相談をおすすめします。
具体的には以下のような相談が可能です。
- 相続税の申告
- 不動産の売却手続き
- 相続人間の調整方法
相続コンサルタントやアドバイザーに相談することで、税務、法律、不動産に関する幅広い知識を活用したトータルサポートを受けることができます。
相談料は1時間あたり5,000円〜2万円程度が一般的です。
トータルサポートを依頼する場合は、案件の難易度や範囲によって数十万円〜数百万円になることがあります。
事前に費用やサポート内容を確認し、納得のいくサービスを提供してくれる専門家を選びましょう。
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