熊手の飾り方|場所と方角・向き・固定方法、神棚がない場合や賃貸での飾り方について解説

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酉の市で熊手を購入し家に帰ったものの、「どこに、どちら向きに飾ればいいのだろう」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか?

結論からお伝えすると、熊手を飾る条件は「目線より高い場所」「清浄な場所」「南か東を向ける(難しければ北向きだけ避ける)」の3つです。

神棚や床の間がなくても、玄関やリビングの棚の上で問題ありません。

本記事では、熊手を飾る場所と方角、壁への固定方法、飾ってはいけない場所、いつからいつまで飾るかまで、神社の案内をもとに詳しく解説します。

執筆・監修
神社のお焚き上げ編集部
郵送お焚き上げサービス「神社のお焚き上げ」(提携神社:祐徳稲荷神社)の運営を通じて得た知見と現地確認・独自調査を元に、企画・執筆・編集を行っています。

​この記事の結論
✓飾る場所は目線より高く、清浄な場所。神棚や床の間がなくてもOK
✓向きは南か東。難しければ北向きだけ避ければ問題ありません
✓飾る期間は1年間。翌年の酉の市で新しいものに替え、古い熊手は寺社へお納めする

熊手を飾る場所の基本は3つ

熊手 飾り方 場所 方角

神社本庁は熊手について「神棚や床の間など、清浄な場所に飾りましょう」と案内しています。

大切なのは、神棚という設備そのものではなく場所の状態です。条件は次の3つに整理できます。

条件 目安 理由
高さ 立ったときの目線より上 縁起物を見下ろす位置に置かない、という考えから
清浄さ ホコリ・湿気がたまらない場所 清らかな場所に納めるという考えから。熊手の傷み防止にもなる
向き 南向きか東向き 難しければ北向きだけ避ければよい、とされている

 

目線より高い位置に飾る

熊手は縁起物として丁寧に扱うため、立ったときの目線より高い位置に飾るのが基本です。

神棚に飾る場合は、神棚の本体や扉の前をふさがないよう、横に立てかけるか、近くの壁に掛けます。

ただし、天井に付いてしまうほど高い場所は避けましょう。
熱気やホコリがこもりやすく、取り外しや掃除もしにくくなります。目線より上で、手が届く高さが目安です。

 

清浄でホコリ・湿気の少ない場所に飾る

熊手は竹や木の骨組みに、和紙・布・木の飾りが付いた品です。
ホコリと湿気に弱く、直射日光で色も褪せます。

「清浄な場所に」という言い伝えは、そのまま「傷みにくい場所に」という実用面とも重なります。

台所の油煙が届く場所、エアコンの風が直接当たる場所、窓辺の直射日光が当たる場所は避け、飾る前に一度拭き上げておくと条件が整います。

 

福を迎え入れる方向に正面を向ける

玄関に飾る場合は、熊手の正面(飾りの付いた面)を出入り口に向けるのが基本です。

外から入ってくる福をかき込む、お客様を笑顔のおかめが迎える、という考え方です。

逆に、家の奥に向けて飾ると「入ってきた福を外にかき出す」形になるとされ、避けたほうがよいといわれています。

 

【場所別】熊手の飾り方

3つの条件を満たしていれば、熊手を飾る場所に厳密な決まりはありません。
神棚がある場合は、まず神棚まわりが第一の候補になります。

ただし、神棚の中や扉の前に熊手を置くと、お札やお供えをふさいでしまいます。神棚の横に立てかけるか、近くの壁に掛けるようにしましょう。

神棚がないご家庭で多く選ばれているのが、玄関やリビングです。

玄関は福を迎え入れる場所、リビングは家族が集まる明るい場所として、どちらも熊手を飾るのに良いとされています。

お店や事務所に飾る場合は、お客様の目に留まりやすい入口側の高い位置が定番です。

ただし、来店客や従業員の動線をふさがないよう、通路の真上は避けてください。

場所ごとに抑えたいポイントは次のとおりです。

場所 ポイント
神棚 第一候補。神棚の前をふさがず、横に立てかけるか近くの壁に掛ける
玄関 正面を出入り口に向ける。下駄箱の上は高さが足りないことが多いので、壁の上部に掛ける
リビング・居間 家族が集まる明るい場所も良いとされる。背の高い棚の上や壁の高い位置に
店舗・オフィス 入口に正面を向け、レジ・受付の上などお客様から見える高い位置に。動線をふさがない

 

熊手を飾る方角|北向きだけは避ける

南向き or 東向き、北は避ける(神社が推奨する方角)

酉の市の発祥のひとつとされる浅草の鷲神社は、「なるべく高いところで北を背にして南向きあるいは東向きがベスト」とし、適当な場所がなければ「北向きだけを避けていただければ宜しい」と案内しています。

関西の十日戎で知られる今宮戎神社も、「福笹が南側または東側に向くように、かつ目線より高い所にお祀りを」と案内しており、関東の酉の市も関西の十日戎も「南か東、目線より高く」で共通しています。

迷ったときは、次のように考えると間違いありません。

・南か東に向けられるなら、そうする
・間取りの都合で難しければ、北向きだけ避ける
・授かった寺社が別の案内を出している場合は、そちらを優先する

北向きが避けられる理由は、北は太陽の光が当たらず陰の気がたまる方角とされること、また故人を安置する「北枕」を連想させることなどが挙げられます。

 

方角別に強まるとされる運気(俗説)

「東は仕事運、西は金運」のように、方角ごとに意味を割り振った説明を見かけることもあります。

神道の考えにはない俗説ですが、叶えたい願いがある方は参考にしてみてもよいでしょう。

熊手の正面を向ける方角 強まるとされる運気
東 仕事運・勝負運・良い知らせ
南 地位・名誉・人気
西 金運・財運・商売繁盛
北 運気が下がるとされ、避けるのが一般的

また、その年の恵方(歳徳神のいる縁起の良い方角)に向けて飾るのもよいとされています。

 

「熊手の正面」はどこ?

熊手 飾り方 方角 向き 正面

方角の話でつまずきやすいのが、「どこを正面と数えるか」です。

おかめや小判などの飾りが付いている面が正面にあたり、その面が南または東を向くように飾ります。

壁に掛ける場合、熊手の正面は壁と反対側を向きます。

つまり「南の壁」に掛けるのではなく、南を向く壁=北側の壁、または東を向く壁=西側の壁に掛けることになります。ここは取り違えやすいので注意しましょう。

 

熊手の固定方法|壁・棚・玄関・賃貸での飾り方

熊手は小さなものでも20cm前後、大きなものは1mを超えます。

お札やお守りと違って重さと奥行きがあるため、「置き方」より「留め方」で悩む方が多い品です。
住まいに合わせた3つの方法を紹介します。

方法 向いている住まい 注意点
壁に掛ける 掛けられる壁がある住まい 熊手に直接釘・ピンを刺さない。賃貸は跡の残りにくい固定具を
棚の上に立てかける 背の高い棚がある住まい 倒れ止めが必要。生活用品と混ざらないよう区切る
玄関に飾る 棚も床の間もない住まい 下駄箱の上は高さ不足になりやすい。壁の上部に掛ける

 

壁に掛ける

目線より高い位置を確実に取れる方法です。

熊手には吊るための紐や輪が付いているものが多く、フックがあればそのまま掛けられます。

付いていない場合は、竹の骨組みが交わっている部分に紐を回して吊り手をつくります。
飾りの付いていない骨だけの部分を選ぶと、見た目を損ないません。

気をつけたいのは、熊手そのものに直接ピンや釘を刺さないことです。

竹も木も繊維が縦に走っているため、金物を打つと乾燥と湿気を繰り返すうちに裂けが広がります。必ず紐やワイヤーを間にはさんで、荷重を面で受けるようにしましょう。

 

棚や家具の上に立てかける

壁に穴を開ける必要がなく、賃貸でも原状回復の心配がありません。
本棚やキャビネットの天板に、壁へもたせかけて置きます。

ただし熊手は飾りが前面に集まっていて重心が前にあるため、立てかけただけでは前に倒れてくることがあります。

柄の下を壁側へ少し引き込むか、柄の後ろに本などの支えを置くと安定します。
花瓶などに重りと一緒に入れて立てる方法もあります。

もうひとつのポイントは、熊手の周りに余白をつくることです。
リモコンや充電器と並ぶと生活用品の一部に見えてしまいます。

小さな敷物か白い紙を一枚敷いて「ここから先は別の場所」と区切ると、それだけで佇まいが変わります。

 

玄関に飾る

棚も床の間もない住まいで多く選ばれている方法です。
福を迎え入れる場所という考えから、玄関に飾る家は昔から多くあります。

気をつけたいのは高さです。
下駄箱の上は座ったときの目線ほどしかないことが多く、条件を満たさない場合があります。

その場合は下駄箱の上ではなく、壁の上部に掛けるほうが条件に合います。

玄関は人の出入りが多く、ホコリも立ちやすい場所です。
飾る前に一度拭き上げ、ときどき乾いた筆や刷毛でホコリを払うようにしましょう。

 

神棚がない家・賃貸マンションの場合

神棚がなくても、上の3条件を満たせば棚の上でも玄関でも構いません。
賃貸で壁を傷つけたくない場合は、次のような固定具が使えます。

石膏ボード用のピンフック 細いピンを斜めに複数本打って支えるタイプ。
穴が針ほどの太さで済み、跡が目立ちにくい。
貼ってはがせるフック 手軽だが、粘着力は温度と湿度で落ちる。
玄関や窓際など寒暖差の大きい場所では時間が経つと外れることがあるため、耐荷重に余裕のあるものを選ぶ。
突っ張り棒・ワイヤーネット 壁に穴を開けずに高い位置をつくれる。
100円ショップでそろえられる。

100円ショップのS字フックや結束バンド、麻紐も、熊手を掛ける・固定する際に役立ちます。

斜めに傾けて飾っても問題ありませんが、落下しないよう2点以上で固定すると安心です。

 

熊手を飾ってはいけない場所・NG例

熊手は「福をかき集める」縁起物です。

不浄な場所に飾ると、せっかくの運気を逃すばかりか、余計なものまでかき集めてしまうとされています。次の場所は避けましょう。

  • トイレ・ゴミ箱の近く
  • 人が通り抜ける扉の真上
  • 北向き
  • ホコリがたまりやすい場所
  • 床に直置き
  • 台所の油煙・エアコンの風・直射日光
  • 天井に付くほど高すぎる場所

「人が集まる場所は賑やかで良い」ともいわれますが、人が通り抜ける動線の真上は避け、人の目線より高く、落ち着いた場所を選ぶのが安心です。

 

良い置き場所がないときは

間取りの都合で理想的な場所に飾れないこともあるでしょう。
その場合は、北向きだけを避けたうえで、次のような工夫をするとよいとされています。

・近くに盛り塩を置く
・こまめにホコリを払い、周囲を掃除する
・「今はこの場所しかないので、しばらくここにいてください」と熊手に伝える

立派な設備をそろえることよりも、手入れの続く場所を一か所決められるかどうかが、熊手が1年後にどう見えるかを左右します。

 

熊手はいつからいつまで飾る?

熊手は11月の酉の市で授かるものですが、正月飾りの案内に「暮れの28日に飾る」と書かれていることがあり、買ってから1か月以上しまっておくべきか迷う方がいます。

浅草の鷲神社はこの点について「新しく授与されたお札や熊手は暮れの28日に神棚などへ祀る」としたうえで、「熊手などを納めて新しく買い換える場合はすぐに飾ってもかまいません」と案内しています。

つまり、前年の熊手を納めて買い替えた場合は買ったその日に飾って構わず、初めて熊手を求めた場合は暮れの28日を目安に飾る、という形になります。

ただし空いた場所に飾ってはいけないという趣旨ではないため、迷えば授かった寺社に尋ねるのが確実です。

飾る期間は1年間が目安です。

翌年の酉の市(関西なら十日戎)で新しい熊手を授かり、古い熊手は感謝を込めて授かった寺社の納め所へお納めします。

鷲神社も「一年間御守護頂いた古札・熊手等は、お焚き上げ料を添えてお求め頂いた神社仏閣へお納め下さい」と案内しています。

出典:浅草 鷲神社「熊手・御守等の祀り方」

熊手の処分方法については以下の記事で詳しく解説しています。

 

熊手の飾り方に関するよくある質問

熊手はビニールを外して飾るべきですか?

外しても、掛けたままでも構いません。

ビニールは運搬時のホコリよけとして掛けられているもので、作法上の決まりはありません。
ただし、掛けたままにすると中に湿気がこもることがあります。ホコリが気になる場合は、袋のままにするより、ときどき乾いた筆や刷毛で払うほうが傷みにくくなります。

熊手は玄関と神棚、どちらに飾るのがいいですか?

どちらでも構いません。

神棚があれば第一候補になりますが、神棚は必須ではありません。
玄関なら「福を迎え入れる場所」として、神棚なら「神様への祈願」を込めやすい場所として、それぞれ良いとされています。いずれの場合も目線より高く、正面を北以外に向けて飾りましょう。

熊手と破魔矢、お札を一緒に飾ってもいいですか?

一緒に飾って構いません。

「神様同士がけんかする」といった心配は無用とされています。
並べる場合は、お札を後ろか中心に置き、熊手と破魔矢をその両脇や横に配置するとまとまります。

去年の熊手と2つ並べて飾ってもいいですか?

1年を目安に新しいものへ替えるとされているため、古いほうは授かった寺社へお納めするのが基本です。

どうしても手放しがたい場合は、新しい熊手を主として飾り、古いものはタイミングを見て返納するとよいでしょう。

熊手が落ちてしまいました。縁起が悪いのでしょうか?

そのように案内している神社の記述は見当たりません。

落ちた原因は多くの場合、固定具の耐荷重不足か粘着力の低下です。
飾りに傷みがなければ、拭いてから掛け直し、固定の仕方を見直せば差し支えありません。飾りが壊れてしまった場合は、無理に飾り続けず、感謝を伝えて寺社へお納めしましょう。

熊手を斜めに飾ってもいいですか?

問題ありません。

正面(飾りの面)が北を向かなければ、斜めに傾けて壁に掛けても、壁にもたせかけて置いても構いません。
斜めに掛ける場合は重心が偏るため、紐を2点で留めるなど落下防止をしておくと安心です。