参拝の記録として少しずつ集めてきた御朱印帳。
使い切ったり、置き場所に困ったりして手放そうと思っても、神仏に関わるものだけに、ゴミとして捨ててよいものか迷ってしまう方は多いのではないでしょうか?
結論からお伝えすると、御朱印帳は紙製品であり、宗教的な禁止事項もないため、家庭ゴミとして処分しても差し支えありません。
本記事では、ご自宅で処分する際の清め方の手順から、寺社にお焚き上げを依頼するときの注意点、故人の御朱印帳の扱いまで詳しく解説します。
この記事の結論御朱印帳はゴミとして捨ててもいい?

御朱印帳は、感謝の気持ちを込めて手順を踏めば、ご自宅でゴミとして処分しても差し支えありません。
「捨ててはいけない」という宗教的な決まりはなく、寺社の側もそのように定めているわけではありません。
御朱印帳は和紙を綴じた紙製品ですので、自治体のルールに沿って可燃ごみに出すこと自体に問題はないのです。
とはいえ、一枚一枚に参拝の記憶が残っているものですから、無造作に袋へ入れることに抵抗を覚えるのは自然なことです。
だからこそ、白い紙で包み、塩で清めるという所作を通して感謝を示すことが大切になります。
むしろ、行き先を決められないまま何年も押し入れの奥に置きっぱなしにしておくほうが、御朱印帳にとっては望ましくない状態と言えるでしょう。
御朱印帳の処分方法3つを比較
御朱印帳を手放す方法は、大きく次の3つに整理できます。ご自身の状況に合うものを選んでください。
| 処分方法 | 費用の目安 | 手間 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| ① 家庭ゴミ(可燃ごみ)として処分する | 0円 | その日のうちにできる | 今すぐ手放したい方 |
| ② 神社・お寺でお焚き上げしてもらう | 無料〜3,000円台 | 事前確認と来訪が必要 | きちんと供養したい方 |
| ③ 副葬品として棺に納める | 0円 | 生前は保管が必要 | 生涯持ち続けたい方 |
①家庭ゴミ(可燃ごみ)として処分する
最も現実的で、多くの方が選んでいる方法です。御朱印帳は和紙を綴じたものですので、可燃ごみとして出すことができます。
用意するのは「白い紙」と「粗塩」の2つだけです。
白い紙は半紙が理想ですが、なければ白い便箋やコピー用紙でも構いません。
塩も粗塩が望ましいものの、ご家庭にある食卓塩で問題ありません。
手順は次の4ステップです。



古紙・雑がみに出すのは基本NG
「燃やされてしまうのが気になるので、古紙リサイクルに回したい」と考える方もいらっしゃいますが、御朱印帳はその構造上、古紙として出せないケースがほとんどです。
多くの御朱印帳には、布類・接着剤・箔押し・刺繍など、古紙リサイクルの対象外になる素材が含まれています。
表紙を外して中の和紙だけを雑がみに出す方法もありますが、蛇腹状の紙は糊付けされているため分離が難しく、そのために引き裂いてしまうのは本末転倒です。
そのためどの自治体でも、御朱印帳は可燃ごみとして出すのが正解と考えて差し支えないでしょう。
表紙の金具・アクリルカバーは外して分別する
意外と見落とされがちなのが、付属パーツの分別です。
御朱印帳には、金属製の留め具やコハゼ、プラスチック・アクリル製の透明カバー、ビニールケースなどが付いていることがあります。
これらは可燃ごみとして出すことができません。
本体(紙と布)と切り離し、お住まいの自治体のルールに従って、不燃ごみや資源ごみとして分別してください。
自宅の庭で燃やすのはNG
「自分でお焚き上げをしてあげたい」と考え、ご自宅の庭で御朱印帳を燃やそうとする方がいらっしゃいますが、これは避けてください。
廃棄物処理法により、家庭ごみの野外焼却(野焼き)は原則として禁止されています。
また、御朱印帳は厚みがあるため燃え残りやすく、煙や臭いが近隣トラブルの原因になることもあります。
お焚き上げは、本来は神職・僧侶が定められた作法にのっとって行う儀式です。
ご自身で火を扱う必要はありませんので、お清めをしたうえで可燃ごみに出すか、寺社へのお焚き上げを選びましょう。
②神社・お寺に持ち込んでお焚き上げしてもらう
きちんと供養して手放したい方には、寺社にお焚き上げを依頼する方法があります。お焚き上げとは、火の力によって天にお還しする儀式のことです。
ただし、お守りやお札と違って、御朱印帳には「授かった寺社に返納する」というルールは適用されないため、御朱印帳のお焚き上げを受け付けている神社・お寺に依頼しましょう。
公式サイトでお焚き上げの受付を明示している寺社か、菩提寺・氏神神社など普段から縁のある寺社を選ぶと確実です。
依頼する際は、持ち込む前に必ず電話や公式サイトで確認してください。
神社印と寺院印が混在した帳面は断られることがあり、自社で頒布した授与品しか受け付けない寺社や、消防法・条例の関係でお焚き上げを縮小した寺社も増えています。
お焚き上げ料は、お気持ちの額(御志納)とされている場合と、1冊あたり数千円を定めているところまで幅があります。
のし袋の表書きは、神社なら「初穂料」「お焚き上げ料」、お寺なら「お焚き上げ料」「志」とするのが一般的です。持ち込む際は金具やアクリルカバーを外し、風呂敷や紙袋に入れて持参しましょう。
③死後に副葬品として棺に納める
御朱印帳は本来、生涯かけて集め、最後はご本人と一緒に、という考え方があります。
そのため、亡くなられたあとに副葬品として棺に納めるという選択肢も、丁寧な手放し方のひとつです。
御朱印は参拝を重ねた証であり、その方が積んでこられた徳の記録とも言えます。
数珠や白衣などと同じように棺へ納めることで、そのまま携えていただくという考え方です。
ただし注意点があります。火葬場によっては、燃え残りや炉への影響を避けるため、納められる紙製品の量に制限がある場合があります。
厚い帳面や複数冊になる場合は、葬儀社を通じて事前に確認しておきましょう。
どんど焼きで御朱印帳をお焚き上げしてもらえる?

「どんど焼き」とは、毎年1月15日前後の小正月に、神社やお寺、河川敷などで正月飾りや古いお守り・御札をお焚き上げする、日本の伝統行事です。
地域によっては「左義長(さぎちょう)」「どんと祭」「鬼火焚き」など、さまざまな呼び方があります。
御朱印帳については、受け付けている神社もありますが、対象外としている神社のほうが多いのが実情です。
たとえば札幌護國神社では、1月1日から15日までのどんど焼き受付期間の「受付可能なもの」として、神札・お守り・破魔矢・絵馬・熊手・神棚と並んで「御朱印帳」を明記しています。
一方で、受付対象を神札・お守り・正月飾りに限定し、御朱印帳を挙げていない神社は数多くあります。
対象品は場所によって異なりますので、持ち込む前に必ず公式サイト等で確認してください。
古札納所に御朱印帳を納めてもいい?
境内に設置されている「古札納所」「古神札納め所」に入れておけばよいのでは?と考える方も多いのですが、古札納所は基本的にお札・お守り専用の窓口です。
御朱印帳は対象外としている寺社も多いため、納所に黙って入れるのは避けてください。
「書き置きの御朱印1枚」なら、返納を受け付けているところも多くありますので、納めたい場合は、必ず社務所・寺務所に声をかけて確認しましょう。
故人・親の御朱印帳が出てきたときの扱い
遺品整理をしていて御朱印帳が見つかった、というご相談は少なくありません。ご本人のものではないだけに、判断に迷いやすいケースです。
選択肢としては、次の4つが考えられます。
| 棺に納める | ご逝去直後であれば、副葬品としてお納めするのが最も丁寧な方法です。 |
| 四十九日や一周忌に合わせて手放す | 気持ちの整理がついてから、区切りとして処分する方法です。 |
| 形見として1冊だけ残す | すべてを残すのが難しい場合、思い入れのある1冊を残して他は処分します。 |
| 写真に残して処分する | 見開きを撮影して記録に残せば、実物を手放しても記憶は残ります。 |
ご家族のあいだで意見が分かれることもあります。その場合は「全部残す」か「全部捨てる」の二択で考えず、1冊だけ残す・撮影して残すといった中間の選択肢を検討してみてください。
なお、故人の御朱印帳をご自宅で処分することも、もちろん差し支えありません。
ご本人が積み重ねてこられた参拝の記録に感謝を伝えてから、白い紙で包んでお納めしましょう。
処分の前に考えたい「残す」という選択肢
ここまで手放す方法を紹介してきましたが、御朱印帳に使用期限や保管期限はありません。
急いで決めなければならないものではないので、一度立ち止まって考えてみてもよいでしょう。
ページが埋まってしまう方は「重ね印」も
御朱印がすぐに溜まってしまい、冊数が増えて置き場所に困っているという方には、同じページに印を重ねていただく「重ね印」という方法もあります。
巡礼や札所めぐりでは古くから行われてきた形式です。対応しているかは寺社によって異なるため、事前に確認してください。
デジタルで残して実物は手放す
すべての見開きをスマートフォンで撮影し、データとして残すという方法もあります。
記録としては十分に残りますし、実物を手放す心理的なハードルもぐっと下がります。
御朱印帳を処分する際のNG行為・注意点
破る・切る・濡らして捨てる
かさばるからといって、破いたり切り刻んだりして捨てるのは避けましょう。
中身を見られたくない場合も、白い紙で包んで出せば十分です。水に濡らして捨てるのも、丁寧な扱いとは言えません。
他人に譲る・売る
使用済みの御朱印帳には、その方の参拝の記録が刻まれています。
フリマアプリやオークションで売買したり、他の方に譲ったりすることは、基本的に避けたほうがよいとされています。
なお、白紙のまま未使用の御朱印帳であれば、通常の品物と同じように譲ったり処分したりして構いません。
お守り・お札・おみくじも一緒に捨てる
御朱印帳と一緒に、お守りやお札、おみくじ、切り絵御朱印などが挟まっていることがあります。
これらは授与品ですので、御朱印帳とは分けて、それぞれ授かった寺社の納札所へお返しするのが基本です。
複数冊まとめて捨てる
何冊もまとめて処分する場合、袋にまとめて入れてしまいたくなりますが、可能であれば1冊ずつ白い紙で包むほうが丁寧です。
寺社に持ち込む場合も、冊数を先に伝えておくと受付がスムーズです。
御朱印帳の処分に関するよくある質問
御朱印帳は使い切ったらどうするのが正解ですか?
「こうしなければならない」という正解はありません。保管し続けても、処分しても構いません。
御朱印帳に保管期限はありませんので、まずは神棚や仏壇、目線より高い場所などに大切に保管しておき、置き場所に困った時点で手放すことを考える、という順序でも問題ありません。
御朱印をいただいた神社に御朱印帳を返納するべきですか?
御朱印帳は1冊に複数の寺社の御朱印が入っているため、「いただいた寺社にお返しする」という考え方は当てはまりません。
お守りやお札には「授かった社にお返しする」という原則がありますが、御朱印は授与品ではなく参拝の証ですので、返納の義務はありません。お焚き上げを希望する場合は、受け付けてくださる寺社を探してお願いする形になります。
神社とお寺の御朱印が同じ帳面に混ざっていても大丈夫ですか?
集めること自体に問題はありませんが、神社・お寺でお焚き上げを依頼する場合、この混在が理由で受付を断られることがあります。
「お寺のものはお寺へ、神社のものは神社へ」という原則があるため、寺院印が入った帳面を神社に持ち込む場合は、事前にその旨を伝えて確認しておきましょう。
西国三十三所などの納経帳も同じ扱いですか?
納経帳は写経を納めた証という意味合いが強く、御朱印帳よりも信仰的な位置づけが重いものとされています。そのため、可能であればお焚き上げや副葬品という形を選ばれる方が多いです。
とはいえ、ご自宅で処分してはいけないというものではありません。巡礼をされた寺院や、その札所を管轄する寺院に相談してみるのも一つの方法です。



